パワプロ研究室

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Computational Models of Emotionを調べてみた

・研究でEmotional modelが必要になりそうだった

・N年前に日本の感情モデルを調べてみたことがあった

・日本と海外とでは感情も違うようだった?

 

人とロボットのコミュニケーションで感情を使う必要が出てきそうだったので、感情モデルについて調べようと思った。何年か前には、感情モデル、情動モデルについて調べていた(感情と情動の違いは?のまま)。

d.hatena.ne.jp

 

最近になって、最新の感情モデルはどうなっているのかと思って以下の論文を読んだ(2013年は最新なのか?というのはあるが)。

 

  • Reisenzein, R., Hudlicka, E., Dastani, M., Gratch, J., Hindriks, K., Lorini, E., & Meyer, J. J. C. (2013). Computational modeling of emotion: Toward improving the inter-and intradisciplinary exchange. IEEE Transactions on Affective Computing4(3), 246-266.

 

この論文には感情の計算モデルが多数紹介されているが、日本人が作ったものは載ってなかった(´;ω;`)。それは日本人が書いてないからかもしれないが、この論文では感情の計算モデルを作成する際に、

  1. 一般的な認知アーキテクチャ(SoarやACT-Rなど)
  2. 一般的なエージェントアーキテクチャ(BDIアーキテクチャなど)

を使用した感情モデルに限定していたからかと思う。著者は心理学や会話エージェントの専門家なので、他の分野(脳科学や生理学)の人だったらまた違った感情モデルが解説されていたかもしれない。以下の論文では感情モデルの特徴についてまとめられていた。

  • Lin, J., Spraragen, M., Zyda, M. (2012). Computational Models of Emotion and Cognition, Advances in Cognitive Systems 2 59-76

以下の表は上の論文のTable 2とTable 3から抜粋したものだが、心理学分野では基本的に土台となる認知理論があって、その上に感情モデルを構築していることがわかる。

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表1 著名な感情モデル

EMAはSoarをベースにして、SmithとLazarus によって提案された感情の認知評価理論を実装している。EMAの影響を受けてFAtiMAも開発された。

 

FAtiMA (Fearnot AffecTIve Mind Architecture)は、いじめについて学ぶFearNot!などのビデオゲームに使用されている。FAtiMAと似た構造をしているMAMID(methodology for analysis and modeling of individual differences)はバーチャルカウンセラーの感情モデルとして使用されている。これらはベースの感情理論にOCCモデルを使用している。日本でOCCモデルを使用した感情モデルはあんまり見たことがなかった気がしている。


WASABI([W]ASABI [A]ffect [S]imulation for [A]gents with [B]elievable [I]nteractivity)はMAXというECA(Embodied Conversational Agent)で使用されていて、感情理論はPADモデルを採用している。WASABIは(名前からして)日本っぽい感じがしたが、参考文献に日本人が書いた論文があったので納得した。

  • K. Itoh, H. Miwa, Y. Nukariya, M. Zecca, H. Takanobu, S. Roccella, M. Carrozza, P. Dario, and A. Takanishi. Behavior generation of humanoid robots depending on mood. In 9th International Conference on Intelligent Autonomous Systems (IAS-9), pages 965–972, 2006.

 

海外ではOCCモデルを使うことが多いが、日本だとPADモデルが多いかなという印象。次は機械学習を利用した感情モデルについて調べるか、別の分野の感情モデルを調べるかなどしたい。

 

以上。